【研究所ブログ第62回】 2つの保護者対応のロールプレイ研修

今年度は、プロジェクト部会エンパワーメントの研修と夏期の教頭部会の宿泊研修の両方で、「保護者対応」のロールプレイを行います。教育の側面とリスクマネジメントの側面と切り口は違いますが、両方から関係性の最適化を考えていきます。

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教育現場では思いやりや共感の育成は大切です。しかし、それは意外と難しく、すれ違いからトラブルに発展するケースもあります。その背景には、社会の変化や個人主義の強まりが影響しています。競争社会の激化により、成功や成果が重視され、個人の目標を優先する傾向が強まり、他者との関わりが軽視される場面が増えている可能性があります。

また、デジタル化が進むことで対面での交流が減少し、SNSなどのオンラインコミュニケーションでは相手の感情を直接感じ取る機会が少なくなり、共感力の低下につながっているのではないかと懸念されています。

さらに、生活の忙しさやストレスの増加により、他者を思いやる余裕が減少しつつあり、都市化によるコミュニティの希薄化も助け合いの文化を衰退させる要因となっている可能性があります。

加えて、情報過多によりショッキングな出来事への感情が麻痺し、共感を持ちにくくなることも課題のひとつかもしれません。

私立学校の先生方は、このような時代の情況を洞察し、生徒との関係性、保護者との関係性を豊かにする教育の実践をしています。また、それがうまくいくようにリスクマネジメントも強めています。つまり、時代の光と影を洞察し、ポジティブな環境や心理的状況をつくる方法について日々研鑽しているのです。

その一環として、プロジェクト部会エンパワーメントLABO Vol.2では、「保護者対応」を切り口に、立場の違いから生じるすれ違いや対話の難しさに向き合います。ロールプレイを通して実際にその場面を演じることで、言葉の選び方や受け止め方に生じるズレを体感し、そこから生まれる気づきや関係性の変化を考えていきます。講師は、法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生先生です。

また、夏期の教頭部会の宿泊研修では、やはり保護者対応のロールプレイを通して、トラブル回避の方法を弁護士からフィードバックをもらいながら学んでいきます。

教育的取り組み、保護者対応、リスクマネジメントを統合することで、学校は生徒が安心して学び、支え合う場となります。思いやりを育む環境を整えることで、社会全体の健全な発展にも寄与し、他者への共感を大切にする持続可能な社会を築くことが可能です。2つの研修の取り組みを通じて、教育現場での問題を未然に防ぎ、生徒一人ひとりが健全に成長できる環境を持続可能にしていきましょう。


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