【研究所ブログ第5回】人気の「実技研修」そして「新たな座禅体験研修」への挑戦
東京私学教育研究所の実施する研修は、座学以外に分散会、ワークショップ、フィールドワークなど対面的な体験の時間も組み込んでいます。どの体験も参加された先生方には好評ですが、「実技研修」も人気があります。アンケートでも「やはりモノづくりは最高に楽しいです」「目からウロコでした」「授業のヒントになりました」という声が多数です。
今春5月の初任者研修で、山本慈訓先生(一般財団法人東京私立中学高等学校協会文化部長/世田谷学園中学高等学校校長)の講話のテーマは『私学教員の"ウェルビーイング"』でした。
山本先生は、『「OECDラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030」では"ウェルビーイング"を教育の最上位目標に掲げていますが、そのことは、私立学校が各校に息づく建学の精神を大切に独自のそして世界標準の教育を形づくっていることと響きあっていると考えています』と語ります。
ですから、「私立学校がこれからの社会の中で果たすべき役割、建学の精神や教育理念のもつ意味について深めていくには、教員もウェルビーイングに根差した教育を実践していく必要があります。教員として自己を磨いていくことを先生方と共に目指していきたい」と高らかに謳いました。
今回の新型コロナウィルス感染による緊急事態宣言下で、WHOが毎日のように身体と心と人間関係のすべてが健康であるようにと発信していました。そして、そのことがウェルビーイングなのだという意識が世界中でも共有されたのは記憶に新しいでしょう。
山本先生がウェルビーイングにこめる気概を参加した先生方はしっかりと受けとめました。そこには時代の精神を読み解く私学人の姿がありました。
今回、プロジェクト部会でも、また別の観点でウェルビーイングを深めていこうと、新たな「坐禅体験研修会」を企画実施しています。意義ある人生を歩む生徒を育てるために、教員もウェルビーイングを生み出す内面を見つめていくことはいかにしたら可能かという問題意識がそこにはあります。
11月16日に行われる芸術体育系教科研究会(音楽)の「篠笛を吹こう」という実技研修、8月3日に行われた専門系教科研究会(技術・家庭、家庭)の「草木染め(ポーチとトートバック)」の「実技研修」はすぐに定員が満たされました。
今回はスキルや技術の研修から自らの内面や精神を見つめる「新たな体験研修会」に挑戦しています。令和5年11月18日(土)、桃林寺(東京都台東区寿1-19-1)で実施します。ふるってご参加ください。
詳しくはこちらを→<プロジェクト部会 「坐禅体験研修会」のご案内>
※専門系教科研究会の「草木染め(ポーチとトートバック)」の「実技研修」のアンケート回答から幾つかご紹介します。
- 玉ねぎ染めは初めて行いましたが、染液に入れるとすぐに鮮やかな黄色に染まって感激しました。加熱を必ず行わなければならないのだと思っていましたが、ある程度の温度であれば大丈夫であること、また媒染もあらかじめ行って乾燥させておけばよいことなど、授業時間に合わせて回数をわけたりもできるなとヒントをいただけました。今は粉末の人工染料を使っていますが、コーヒーや玉ねぎなど身近な素材で染めることができるというのはよい気付きになると思うので、授業の構成を工夫して中学生でもできるような内容で実践したいと思いました。
- 調理で廃棄する玉ねぎの皮は集めておりますので、ぜひ自校でも染色の授業を計画したいと思います。豆乳駅に浸すやり方も初めてうかがい、大変勉強になりました。
- 玉ねぎの染色が予想外のキレイな黄色になったことが印象に残りました。皮革も初めてやりましたが、とても楽しく取り組めました。
- 玉ねぎでこれほど染められることに驚きました。レザーでは、「かし目」の作業が大変でしたが、やっていくとハマりそうだなと思いました。モノづくりは、やはり楽しいですね!美術の教員と染物と裁縫のコラボができると年度初めに話しておりましたが、研究会でぴったりのテーマを発見し参加しました。
- 学校を訪れる外国人の方が多くなってきましたから、日本文化の共有の一つとして有効だと感じました。
- 革製品(バック)の製作を初めてやりました。作品ができあがって、とてもうれしかったです。学校に戻って、ぜひ技術を生かしたいと思います。今日はありがとうございました。