【研究所ブログ第79回】学校づくり研究会の黒田先生の株式会社コーセーとの連携「探究」
学校づくり研究会における黒田先生の研究の意味
2026年1月27日、株式会社コーセーにおいて、山脇学園中学校・高等学校の中学3年生が同社と協働プログラムを行ってきた成果発表会を行いました。学校づくり研究会では、学校がグローバルな環境や外部の諸団体と連携する探究の広がり、生成AIをはじめとするテクノロジーを活用する多様な授業の在り方など目まぐるしい変化の影響を受けるようになっているこの時代であるからこそ、「学校とは何か?」を多角的多面的なアプローチで再定義を試みています。

同研究会の委員である山脇学園の黒田雅幸先生(情報科主任・サイエンス担当・学校DX担当・ICT機器管理担当)は、株式会社コーセーと連携しながらデータサイエンスを駆使した探究プログラムを実施しているプログラムデザインについて研究会で共有し、学校が本来持っている生徒の成長をサポートする新しい学び方と女子生徒の新たなキャリアデザインの作り方について議論をしています。
また、このような企業と連携するというアクション、ビッグデータを扱うデータサイエンスの手法の活用、探究というプロジェクトベースの学びは、文部科学省が2月に公表した2040年に向けてのネクストハイスクール構想で提示されている教育内容の重要な骨子を先取りしています。
私立学校が新しい学びにチャレンジすることが、国の教育行政のヒントになる可能性もあり、黒田先生は、学校づくり研究会の研修会でも、株式会社コーセーと連携した探究活動について発表し、参加した私学の先生方と知的刺激を生み出しています。
山脇学園の中学校3年生が株式会社コーセーで行った成果発表では、その探究活動のプロセスが明快にわかるものでした。学校づくり研究会で、日ごろ黒田先生が共有している「主成分分析」と「クラスター分析」というデータサイエンスの手法と生成AIを使った学びが、具体的に展開していました。
学校づくり委員会の委員の先生方が今回黒田先生の試みに注目したのは、企業と連携、データサイエンスの手法、探究というプロジェクトベースの学びについてはもちろん関心度が高かったのですが、特に注目したのは、生成AIなどのテクノロジーやバーチャルな時空の導入により、生徒の身体知の重要性が顧みられなくなるかもしれない懸念を払しょくする一つのケースであった点です。
山脇学園と株式会社コーセーが協働してつくった探究プロセスの意義

山脇学園の中学3年生対象の今回の探究授業は、2025年7~12月の期間で計10回実施されました。授業のテーマが、「感性とデータから、みんなにぴったりの化粧品をみつけよう」であり、まさに身体知とテクノロジーの関係性が展開する授業です。
① 官能評価
生徒が商品ラベルを隠したコーセーの化粧水もしくは乳液5品を自身の肌で触りながら、そのときの「さっぱり」などの感触を数値化する官能評価を行いました。商品ラベルがないことによって、先入観を取り除き、身体知そのものに集中できます。中学生の主観的な感覚をどのように数値化していくのかは、観点別評価の基準の作り方について議論が絶えない学校現場に重要なヒントになります。
② 統計解析
本授業のためにコーセーが独自開発したWebアプリを使用し、官能評価の結果を主成分分析の手法をつかって生徒たち自身が統計解析できる環境を設定しています。昨今の探究では、複雑な関係性の中にある問いを発見し、深く学んでいくプロセスが推奨されていますが、複雑な関係性をどのように把握するのか、整理するのかについてのデータサイエンス的な手法はまだ明らかにされていません。
③ クラスター解析
生徒たちにライフスタイルや嗜好性に関するアンケートを実施し、クラスター解析という分類手法を活用。生徒は数学で集合論を学びますが、実際にマーケティングにその数学的思考がリンクしていることを実感できることにも教科横断という学校現場で高い関心事にも結び付く可能性があります。この生徒たち自身による分類と解釈を通して、山脇学園生徒の独自の人物タイプ「Yamawakiタイプ」を定義していきます。これにより、生徒たちが自分たちに合わせた商品提案ができるようになりました。
④ 生徒自身の世界に引き込む商品のプレゼンテーション
生徒たちは解析したデータをエビデンスとし、それぞれの「Yamawakiタイプ」にぴったりなスキンケア商品を5種類の中から選定し、その魅力を伝えます。キャッチコピーやパッケージ案の考案は、ブランディングやマーケティングの手法の芽吹きがあり、今回の探究がSTEAM教育のヒントにもなっていました。STEAMのA=Artに関しては、なかなか学びの中に結びつけるのは困難で、STEM段階にとどまりがちです。身体知が感性、テクノロジー、データ、アートの結合によって成り立つ格好のケースです。
2026年1月27日には株式会社コーセーに対して同校の生徒の代表7チームが発表を行いました。その具体的な様子については、次のサイトをご参照ください。
山脇学園サイト:中学3年 KOSE『化粧品×データサイエンス』授業を行いました
株式会社コーセーのサイト:「化粧品×データサイエンス」授業で女子中学生の理系進路への関心が約1.5倍に向上 〜山脇学園と共同し、半年間にわたる授業でキャリア支援〜
