【研究所ブログ第72回】金融教育の実践とその意義

11月27日(木)、文系教科研究会(社会・公民)は、高校公民科や中学校社会科(公民的分野)の学習指導要領で盛り込まれた「金融経済教育」について、5名の先生方から授業実践の取組をご報告いただき、各校での更なる授業改善に活かしていければとの思いで授業実践報告会を企画いたしました。

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(図はCopilot)

金融教育を公民の授業で取り入れることには、現代社会を生き抜く力を育むという意義があります。授業実践報告を通して、生徒にとって、次のような学びの意味の参考になると思います。

まず、仮想通貨の仕組みやマイニングの体験を通じて、生徒はデジタル経済の最前線に触れることができます。実際のビットコインの取引データを可視化することで、抽象的な金融の概念が具体的な理解へとつながり、生徒の興味関心を高めることができます。

また、「株式学習ゲーム」のような実践的な教材を活用することで、投資や経済の仕組みを体感的に学ぶことが可能です。ゲーム形式で株式市場を疑似体験することで、リスクとリターンの関係や経済ニュースの影響などを実感しながら学ぶことができます。

さらに、企業会計や財務分析に取り組む探究活動では、公開された企業情報をもとに分析を行うことで、情報の読み解き方や論理的思考力が養われます。これは、将来の進路選択や職業理解にもつながる可能性があります。

加えて、アントレプレナーシップ教育を通じて、生徒は「なぜ金融を学ぶのか」という問いに対して、自分なりの答えを導き出すことができます。校外学習や外部プログラムを活用することで、実社会との接点を持ち、主体的な学びが促進されます。

最後に、「好きを仕事につなげる起業体験」では、自分の興味関心を社会課題と結びつけ、事業計画を立てる力を育みます。これは、経済分野の知識を活用しながら、自分らしい生き方を模索する貴重な機会となります。

このように、公民科での金融教育は、単なる知識の習得にとどまらず、生徒の主体性や社会とのつながりを深める教育的価値を持っています。未来を担う若者たちにとって、金融を学ぶことは「生きる力」につながるはずです。

当日は、授業実践報告に加えて、報告を受けての意見交換や日頃の授業実践に関する情報交換の時間も設ける予定でおります。お誘いあわせの上、奮ってのご参加をお待ちしております。


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