【研究所ブログ第31回】文系教科研究会(社会・公民)「見学研修会」 SHIBUYA QWS

令和6年8月27日(火)、文系教科研究会(社会・公民)は、<「見学研修会」 SHIBUYA QWS -社会課題解決の宝庫:未来を拓くイノベーション‐>を開催します。

詳しくは→https://k.tokyoshigaku.com/seminar/bunkei/post-1967.html

このSHIBUYA QWS(渋谷キューズ)は、渋谷駅直結・直上大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」15階にあり、イノベーションの発想を生み出したり、それを形にします。驚くべきことは、スタートアップなどの課題でもある発想をカタチにしたものの、資金調達がうまくいかないという「死の谷」の壁を乗り越えるサポートのネットワークもつなぐことができます。もちろん、相当真剣に取り組むことは必要です。

SHIBUYA QWSは、「問うだけじゃなく、出会うだけじゃなく、生み出すだけじゃなく、世界を変えよう」というコンセプトのもと、自らの感性に基づいた自発的な問いを持ち、それに挑戦する人たちを応援する場で、様々な公募プログラムやメンバーシップ制度を通じて、個人やグループ、企業や自治体、大学などが協働しているわけです。

現役高校生や高校を卒業したばかりの大学生が参画するプロジェクトもあり、社会科・公民科科目や総合的な探究の時間、キャリアデザインなどに直結する社会課題への取り組み事例の宝庫です。SHIBUYA QWSのスタッフに、同コミュニティの活動やその意義について、見学しながらレクチャーを受けます。

ところで、今なぜこのようなコミュニティが求められているのでしょうか。そのヒントを理解するには、総務省の調査報告「令和3年経済センサス‐活動調査報告(産業横断的集計 東京都概況)【令和6年3月19日公表】の次のグラフが役に立つかもしれません。

経済センサス1.png

産業大分類別に東京都の事業所における売上(収入)金額の対全国比を示すグラフです。これをみると、「情報通信業」が 66.1%で最も高く、次いで「学術研究,専門・技術サービス業」が 52.3%、「金融業,保険業」が 43.0%という順になっています。

「学術研究,専門・技術サービス業」という大分類は,主として学術的研究などを行う事業所,個人又は事業所に対して専門的な知識・技術を提供する事業所で他に分類されないサービスを提供する事業所及び広告に係る総合的なサービスを提供する事業所を指しているようです。たとえば、理学研究所や医学・薬学研究所、法律事務所、特許事務所などです。

情報通信産業のようにイノベーティブな産業をサポートするには、法律や特許関連、学術研究所などは必要です。そしてなんといっても金融系のネットワークは重要です。

つまり、知財やソフトパワーに関連する産業が、東京一極集中という状態になっています。ここには確かに、地方創世のためにどうするかという大きな社会課題があります。その一方で、ボストンコンサルティンググループなどによると、2008年は、イノベーティブ企業ランキングトップ10に日本の企業は3社はいっていたのに、2023年には1社もなくなっているというのです。

スイスの国際経営開発研究所の「2023年度版世界競争ランキング」では、日本は63カ国中34位です。DX化の遅れが大きな要因だと分析されています。

これらのランキングの信頼性についてはいったんカッコに入れるとしても、昨今の日本の経済産業の動きを見ていると、あたらずといえども遠からずということになるかもしれません。

したがって、東京の潤沢で多様なリソースの化学変化をどのようにクリエイティブにイノベーティブに生み出していくかも喫緊の課題です。

東京の情報通信産業の集積エリアは、港区、千代田区、品川区、新宿区、渋谷区などで、SHIBUYA QWSもその一角にあります。このような東京1都市に私立中学と私立高校を合わせて400校以上存在しているというのは、世界でも稀なケースで、世界文化遺産レベルです。

多様な知があふれる私立学校の教育力だからこそ、このような地方創世の課題、世界の中の日本の課題の両方の解決に貢献できるのだと確信しています。


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