【研究所ブログ第18回】国学院高等学校 高1オリエンテーションでOST実施

4月24日(水)、神宮球場の真向いに位置する国学院高等学校で高1のオリエンテーションがありました。今回は、研究所で実施した昨年の夏の合宿「初任者研修」で導入したOSTを、学年主任の星野真人先生が、学年団と協力して実施しました。

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OST(オープン・スペース・テクノロジー)とは、大まかなテーマについて関心や情熱を持つ関係者が一堂に会し、自らが解決したい問題や議論したい課題を提案したうえで、自主的に話し合いを進める手法を活用したフラットでラディカルでディープな対話型のワークショップです。

昨年、初任者研修で行う際に、ベテラン教師が初任者に教師としての心構えや生徒対応、教科教育の授業の基礎などを教えるのではなく、初任者がそれぞれ困っていることや期待していることなどを解決したり実現するにはどうするかという意志を尊重したワークショップを行いました。

そのワークショップの対話の中で、現場における実際的な壁を互いに共有し、研修委員の先生方や応援のために参加した学校づくり委員会の先生方がメンターやアドバイザーとなって痒い所に手が届くディスカッションをしていきました。

実はその時の初任者研修の委員のお一人が星野先生だったのです。研究所は、25種類の研修委員の先生方と協力して、時宜にかなった先見性・先進性のあるテーマを選択し、学問的な知と現場の授業における先生方の創意工夫の懸け橋になる研修を実施しています。

ですから、今回のように研修で取り組んだOSTを学校現場に導入しようという試みはその目標を達成する事例になります。このOSTは初任者研修に参加されたほかの学校の先生が授業で導入したり、研究所のほかの委員会(「学校づくり委員会」「数学の委員会」)でも活用されるようになりました。

今回国学院が行った高1のオリエンテーションの参加者は、4月に入学したばかりの生徒です。入学式から徐々に主体性や自分の意志を仲間と協力しながら自覚してきていますが、まだまだ「自己開示」には気遣う必要があると星野先生は生徒に語ります。

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自分の仲間と実現したいテーマをフリップスケッチブックに書いて、このテーマについていっしょに話し合いませんかとプレゼンするところから始まります。300人を前に店だしPRをするこの行為を、「英雄の旅」(ヒーローズ・ジャーニー)と呼んでいました。ずらりと20人以上が並んで次々とプレゼンする勇気はまさに英雄の姿さながらでした。

そこから店が立ち上がり、テーマを模造紙の真ん中に置いて、ポストイットでマッピングしていくわけですが、このとき「自己開示」はあまりにプライベートな内容にならないようにというルールが説明されていたのです。

自己開示はしてはよいが、どこまで開示するかは考慮するようにというのは、ちょっとしたジレンマ問題です。国学院のOSTは、創造性を生み出すだけではなく、個人とチームのバランスをどうとるのか考えるチームビルディングの体感も仕掛けられていたのでした。

今年度の研究所の教頭部会の夏期合宿研修のテーマは「成長する組織づくりを共に考える」ですが、今回の国学院の高1オリエンテーションのプログラムにも共に成長するという通奏低音が響いていると思います。東京の私立学校は独自性・先見性・先進性のある教育を実施しながらも、根本において本質的なテーマを共有していることに感銘を受けました。


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