【研究所ブログ第19回】初任者「スタートビジョン」は未来の学校を見つける起点

今年4月に教師になった初任者の先生を対象にスタートビジョン研修を行いました。137人の先生方が参加しました。生徒との出会いにワクワクしながらも、メディアが拡散する教師の仕事の過酷さというものが本当なのかどうか大きな不安も抱きながら1か月を過ごしてきた初任者の先生方。

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ですから、委員の先生方は、初任者の先生方が不安を払しょくし、多様な困難を乗り越えるための心の余裕をもてることをまず大切にしました。未来のより良い社会を創る人格や人間力を育成する尊い教師の生き方を応援するにはどうしたらよいのか、そのための研修をどうしたらよいのか、何度も集まり委員の先生方は熟議し企画を立てたのでした。

そのためには、まずは、共に不安や困難を乗り越えていく仲間を作る機会を設定しました。仲間とは、お互いの困っている状況や悩んでいることに共感し受け入れる対話によって生まれてきます。

次に、勤務校で自分ができることやしたいことについて対話しました。一人ひとりこんなに思いや考え方、目標が違うのか、学校によってこうも考え方が違うのか、日々自分の学校にいるだけではわからない私立学校に対する視野が少し広がっていきます。

3番目に、これからの未来をどういう場にしていきたいのか、どうなる必要があるのかについて対話する時間を設けました。これもまた一人ひとり考え方や思いは違います。同時に未来に向けて現状に対する理想のようなものが見えるところへ視点を高める体験にもなりました。

一方で、東京私学教育研究所からは、今の生徒が22世紀にむかって社会を創っていく人材であることからバックキャストして、人類が平和でウェルビーイングであろうとする普遍の変わらない価値を実現すべく新しいイノベーションを創発できる人間力を養う教育を考えていこうと高い視点と広い視野について情報が提供されました。

香蘭女学校の校長鈴木弘先生からは、私学の教師の条件や建学の精神と私学の教師の生き様や覚悟について情報が提供されました。

初任者研修の委員長更科幸一先生からは、自分の心と体と人間関係のトータルな健康を第一に仕事をしていくことが、教師にとっても生徒にとっても学校にとっても大切なことであるというメッセージが投げかけられました。

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ワールドカフェ風に、互いに共感しあう対話、自分の考えの視野を広げ視点を高める対話、現段階での自分たちのビジョンを共有する対話を行い、自分ひとりの想いや考え方を仲間と共有して広く深く育てたのです。そして、その一方で、教師人生を歩んできた豊かな経験に基づいた3人の先生方のビジョンやものの見方や感じ方とはギャップがあることも感じ取る研修となりました。

自分ひとりで思い考えるのではなく、仲間と対話することで、それは広く深くなることを体験したうえで、私学のビジョンとまだまだギャップがあることも感じ取ることの両方が今回の研修のねらいでもあったのです。

そのような2つの体験は、心の余裕がなければ、なかなか受け入れられません。つまり、心の余裕がなければ、視野が狭くなり、周りが見えなくなって疲弊してしまいます。そうならないように、対話ができる仲間を見つけ、自分の考えと他者(ここでは多くの私学人たち)の考えの違いを見出し、どう調整、適応、創発していくのかということなのです。

そのマインドとスキルについては、夏の2泊3日の合宿研修でじっくり共に磨こうとスタートビジョン研修の幕は閉じたのです。


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