【研究所ブログ第8回】生成AIを使った英語の授業実践研修 ~私立学校ならではの先進性・先見性・独自性

画像1.png

今年度の私立学校の現場の先生方の大きな興味と関心の一つは「生成AIを授業の中でいかに有効に活用できるのか」です。文部科学省のガイドラインが公開されるまでは、生成AIの倫理的危うさや生徒の学び方に対する影響への懸念が論じられてきましたが、夏を過ぎたあたりから、すでに多くの先生方が授業実践の中で活用しているという情報が拡散しました。

文系教科研究会(外国語)の先生方からも「ChatGPTを始めとする生成AIや対話型AIの登場は世界に衝撃を与え、ニュースで目にしない日はないほど。英語の翻訳機能も以前よりも数段正確になってきている。英語の教育の在り方について考え直すことを迫られているかもしれない。実際すでに日頃からICTを活用され、生成AIもいちはやく取り入れている英語科の先生方の話をよく耳にするようになった。ぜひその実践例を披露していただき、英語教員にとって、生成AIなどをいかにうまく活用していけばよいのか、共に議論し、考える研修を企画しましょう」という声があがりました。

※文系教科研究会(外国語):委員長 畑澤正一先生 (第7支部 大森学園)、委員 小山英二先生(第3支部 学習院)、川端真理子先生(第7支部 多摩大学目黒)、舟久保栄一先生(第11支部 巣鴨)、 蕨知英先生(第11支部 国立音楽大学附属)、倉田豊子先生(第12支部 聖徳学園)

そして、すぐに申し込み定員40名が集まるほどでした。この速度感は私立学校の高感度な先見性を示唆しています。

実践例を発表してくださった髙木俊輔先生(聖光学院中学校・高等学校)及びRoy J. Lee先生(開成中学校・高等学校)のプレゼンは、インパクトがありました。参加された先生方からは「情報量が豊富で、準備にも相当なエネルギーが必要だったのではないかと推察します。スライドの内容を参考に研究を少しでも深化・拡充していきたいと思います」という声が寄せられました。

現行学習指導要領では、外国語はCEFRをベースに教育課程を組み立てることになっています。CEFRのカテゴリーの中で"Spoken Interaction"という学びの領域があります。この領域のC1(英検で1級相当)の目標は「流暢かつ自発的に自分を表現することができる。言語を柔軟かつ効果的に表現できる」などとされています。

お二人の先生方のプレゼンは、まさに双方向的スタイルで、授業で教師と生徒が対話するシーンを再現したものでした。<Slido( https://www.slido.com/jp)>という質の高いQ&Aセッションができるプラットフォームを使いながら、問いに対し、リアルタイムに多くの回答が集まり、どの回答が多かったのかランキングまでわかるICTツールを使っていました。

「SlidoなどのICTツールを使いながらのセミナーは、頭がフル回転しました。同じテーブルの先生たちとのディスカッションの勢いも拍車がかかりました」というアンケートの回答がありました。

生成AIについては、プロンプトの作り方など参加した先生方には、相当衝撃的で、現場で活用できるヒントをいただきましたという声が多かったようです。

そして、生成AIの回答は確率の高いものを引き出してくるので、偏差値のような統計でいえばボリュームゾーンの平均的な回答です。ですから、そのまま使うわけにはいかないのですという講師の話に会場は深く頷くシーンがありました。私立学校の独自性を大切にする思いが現れた瞬間でした。

参加された先生方は次のようにアンケートに回答されています。


お知らせ一覧に戻る

研修カテゴリー・テーマ

一般財団法人
東京私立中学高等学校協会
東京私学教育研究所

〒102-0073
千代田区九段北4-2-25 私学会館別館4F
キャラクター