【研究所ブログ第6回】教科の授業と探究の接点
今年度の教科研究会の研修で、必ずしも研修タイトルにはなっていませんでしたが、その背景に共通したテーマがいくつかありました。その一つに、どの教科も授業と探究の接点をどのように理解するかという問いがありました。この問いを直接研修のテーマにしたのが、家庭科でした。
夏期中に行われた専門系教科研究会(技術・家庭、家庭)では、「情報活用型PBLでつくるホームプロジェクト」というタイトルで、探究デザインと家庭科のホームプロジェクトという授業の接点について、東北学院大学文学部教育学科教授の稲垣忠先生をお招きし、ワークショップで体験していきました。
家庭科のみならず、他教科でも参考になる探究との接点を見つけるヒントになる部分をご紹介します。
稲垣先生は、探究を4つのカテゴリーにわけていました。探究といっても、人それぞれのイメージがありますから、そのイメージを稲垣先生は次の4つにわけています。
・キャリア
・個人探究
・プロジェクト
・ゼミナール
そして、教科と接点をもちやすいのは、プロジェクトとゼミナールだということを確認しました。この2つは、集団を土台にするものですから、クラス単位で行う授業は接点を見出しやすいということです。
そして、さらに単元やテーマなどの接点というよりも、稲垣先生が注目したのは、「情報活用型PBL」と「ホームプロジェクト」のプログラムのプロセスの類似性でした。
両者とも身近なところから社会課題を見出し、明快に目標をたてるところは同じであるし、課題発見→課題計画→課題実践→評価・反省というプロセスも類似していますと。
このような類似点があることを、プロセスを表す各要素のカードを使いながら、ワークショップを進めて、可視化していきました。
このカードやワークシートについては、稲垣先生ご自身のサイト「つくろう!情報活用型授業」の「情報活用型プロジェクト学習」のページに具体的に掲載されていますので、ご覧ください。https://ina-lab.net/special/joker/pbl/
参加された先生方は次のようにアンケートに回答されています。
- アクティブラーニングの実践の方法やヒントを得られました。課題発見から解決までの具体的なプロセス・考え方を学ぶことができました。
- なかなか授業の中で探究のプロセスを実施する時間設定が難しいですが、選択教科で取り入れることは可能だと思いました。
- プロジェクトをデザイン思考でつくるというのはわかりやすく取り組みやすいと感じました。
- PBLの授業が100年前から行われていたのだと知り、改めて驚きました。
- カードを使って流れを可視化するのは、計画を立てるときに、生徒の視点に立てると思いました。
- テーマ探しは難しいのですが、そのアイデアを出すプロセスや方法が示されわかりやすく、勉強になりました。
- 評価の仕方にいつも迷いますが、ルーブリックについてもっと学ぶことで迷いが消える可能性があると感じました。